症例解説
足底筋膜炎(足底腱膜炎)
足底筋膜炎は足の裏(足底)を地面に着くと踵周囲に痛みが出る傷病です。
歩きすぎや立ちっぱなし、スポーツによって発生します。
また偏平足などの足の変形(足部マルアライメント)も原因となることがあります。
悪化すると踵の骨の変形(踵骨骨棘形成)をきたし、最悪な場合手術となることもあります。
類似疾患にモートン病がありますが、こちらは第二趾と第三趾(人差し指と中指)の付け根の痛みが発生します。
症状
立ったり歩いたりして、足を地面に着くと鋭い痛みが踵周囲や足裏全体に発生します。
特に起床直後の一歩目に強く痛みが発生するのが特徴です。
発症原因
足の裏にある筋肉(足底筋膜)が繰り返し過度に使われることで炎症が起き発症します。
また筋肉自体が硬くなってしまい痛みが発生する場合があります。
足の裏の筋肉だけでなく、アキレス腱やふくらはぎの筋肉が硬くなってしまい発症する場合もあります。
偏平足や外反母趾では普通に歩いたり立っているだけでも足底筋膜に過度なストレスが発生するため、日常生活を送っているだけでも発症する場合があります。
また、間違ったインソールや靴選びにより、土踏まずが無理に持ち上げられストレスがかかり発症するケースもあります。
短期的な原因では、靴を新品に買えた直後や生活習慣の変化でも起きる場合があります。
図:内側縦アーチ
足底筋膜は踵の骨(踵骨)の底部の出っ張り(踵骨棘)から始まり、指の骨(中足骨)に着く扇状の筋肉です。
この筋肉が土踏まず(内側縦アーチ)をしたから支えることで、体重を受けたり歩く時に地面を蹴ったりします。
使いすぎたり、過剰に引き延ばされるストレスが頻発することとで、一部断裂したり筋肉が硬くなりすぎたりし、炎症が発生します。
寝起きで血液が乏しく硬くなった足底筋膜に体重がかかるとより強く痛みが発生します。
偏平足や外反母趾では、通常より土踏まずが下がってしまい、足底筋膜が荷重がかかる度に強く引き伸ばされ断裂等が発生しやすくなります。
治療
物理療法(電気や温熱)により足底筋膜の炎症や損傷を治療します。
テーピングやサポーターにより土踏まずを持ち上げ、足底筋膜へのストレスを軽減させます。
痛みが軽減したら、足底筋膜の運動を行い機能を回復させます。
予後
痛みが治まり、足底筋膜の機能が正常になれば完治となります。
ただし、靴の選び方や日常生活での足底筋膜へのストレスの原因が改善しないと繰り返す場合があります。
当院での施術
初期治療として、筋肉や筋膜の硬さを緩和する超音波治療とカッピングを行い、早期の炎症改善や筋肉の硬さの改善を図ります。
痛みが消失するまでは、テーピングにより日常生活での痛みを抑え、手技により足底筋膜やふくらはぎの筋肉の緊張を緩めていきます。
また足部マルアライメントがある場合は、足部の関節のアジャストを行い、日常生活での悪化や再発を予防します。
場合によっては足型測定によるインソールの処方や、足トレの指導を行います。