症例解説

2022-03-14 10:23:00

オスグッド・シュラッター病(膝の成長痛)

オスグッド・シュラッター病は小学生高学年~中学生に多い膝の成長痛です。

膝のお皿の骨のやや下が腫れ、走ったりジャンプしたりすると痛みが出ます。

主な原因はスポーツなどを頑張りすぎて起きるオーバーユース(使いすぎ)ですが、

なかなか治らずスポーツに復帰できないケースや、繰り返し痛みが発生してしまうケースがあります。

 

   症状

走る・ジャンプ・階段の昇り降りなど、膝に体重が多くかかると痛みが発生します。

また腫れているところを強く押したり、何かに当たっても痛みが発生します。

症状が悪化すると膝を曲げるだけでも痛みが発生します。

   発症原因

未発達なすねの骨(脛骨)を太ももの筋肉(大腿四頭筋)が繰り返し引っ張ってしまうことで、

骨が剥がれることで発症します。

成長期(10歳~16歳頃)に急激な骨の成長と筋肉の柔軟性の低下が同時に起きることで発症しやすく、

女子より男子の方が発症率が高いのも特徴です。

   病態

膝関節 正面.jpg

太ももの正面の筋肉(大腿四頭筋)が膝のお皿の骨(膝蓋骨)に終わり、その後お皿の下の靱帯(膝蓋靱帯)を介してすねの骨(脛骨の脛骨粗面)に終わります。

大腿四頭筋は膝蓋骨を介して脛骨を上方へ引っ張ることで、膝関節を伸ばします(伸展)。

成長期は部分が未発達で、骨にしっかり固定されておらず、軟骨によって引っ付いています。

そのため繰り返し強い力で斜め上方向に引っ張られることで前方へ突出するように剥がれてしまいます。

   治療

第一は安静です。痛みが強い場合は炎症が起きているため、運動を中止しテーピングなどで保護して安静にします。

炎症が治まると、筋肉のストレッチや剥がれている骨の再生を促す電気治療を行います。

骨が完全に成長するまで運動を中止できる場合は、時間の経過と成長に伴い治っていきます。

ただし、繰り返し痛めている場合や、早期のスポーツ復帰を目指す場合は、

股関節や膝関節や足関節の正しい使い方を覚え、フォームの修正が必要です。

   予後

完全に骨が成長することで痛みは治まります。

ただし、極端に骨が突出してしまった場合は、そのまま骨が出っ張ったままのケースもあります。

骨の出っ張りが残ってしまうと当たったり正座をすることで痛みが発生する場合があります。

 

   当院での施術

初期治療として、骨の再生を促す超音波治療(LIPUS)とカッピングを行い、早期の炎症改善を図ります。

痛みが消失するまでは、キネシオテーピングにより日常生活での痛みを抑え、手技により大腿四頭筋等の筋肉の緊張を緩和させていきます。

痛みが軽減してきたら、インソールマイスターによる足の正しい使い方やトレーナーによるフォームの修正指導を行います。

試合に間に合わせたい等の要求も可能な限りお応えしますが、出来るだけ症状が軽度または試合日程までに余裕をもって来院してください。