症例解説
症例
外側上顆炎(肘の腱鞘炎・テニス肘)
外側上顆炎は物を持ったり雑巾を絞ったりするときに肘に痛みが出る腱鞘炎です。
手の使いすぎや物を繰り返し持ち上げたり動かしたりすることで発症しますが、なかなか治らないケースが多くあります。
特に女性に多く発症し、家事や育児や仕事など、日常生活への影響も大きく非常にストレスに感じます。
市販のサポーターも多く販売されていますが、しっかりと原因を把握し選ばないとなかなか効果が得られません。
症状
物を掴んだり持ち上げたりすると肘の外側に痛みがでます。痛い個所を抑えたりぶつけると痛みがでます。
発症原因
肘関節の骨の出っ張り(外側上顆)のやや上から始まる筋肉(手関節伸筋群)を使いすぎる事で、筋肉が骨を引っ張りすぎてしまい
骨の表面に炎症が起きます。また筋肉自体が硬くなってしまい痛みが発生する場合があります。
男性より女性の方が発症率が高いです。
病態
手関節伸筋群は手首を反る(背屈)したり、物を持ち上げたり物を掴んだりする時の手首の安定性に働きます。
その筋肉を使いすぎる事で骨の表面(骨膜)での炎症や筋肉自体のコリ(固縮)を起こします。
筋肉を動かすと痛めた骨膜が引っ張られ痛みが発生します。
また手関節伸筋群は肩甲骨から始まる肘を伸ばす筋肉(上腕三頭筋)と連結しているため、
肩こりなどで肩甲骨や肋骨のズレがある場合はより発症しやすくなります。
治療
手関節伸筋群のコリを緩め、骨膜の炎症を抑えることで症状が緩和します。
キネシオテーピングで筋肉の働き補助し、必要以上に骨膜が引っ張られることを防ぐことで
日常生活での痛みを抑えます。
予後
痛みが治まれば完治となります。
ただし、手首や肩の使い方の悪さや肩甲骨や肋骨のズレがある場合や、仕事等で使いすぎる場合は
繰り返し痛めるケースがあります。
当院での施術
初期治療として、骨の再生を促す超音波治療(LIPUS)とカッピングを行い、早期の炎症改善を図ります。
痛みが消失するまでは、キネシオテーピングにより日常生活での痛みを抑え、手技により手関節伸筋群や
上腕三頭筋の緊張を緩めていきます。
また肩甲骨や肋骨のズレを整えることで、肘にかかる負担を軽減し、日常生活での悪化や再発を予防します。
女性に多く発症する原因に女性ホルモンの乱れがあります。そのため、出産前後や閉経前後が発症率が高くなります。
そういったケースではハイブリッド波や水素吸入療法によるホルモンバランスへのアプローチも行います。
オスグッド・シュラッター病(膝の成長痛)
オスグッド・シュラッター病は小学生高学年~中学生に多い膝の成長痛です。
膝のお皿の骨のやや下が腫れ、走ったりジャンプしたりすると痛みが出ます。
主な原因はスポーツなどを頑張りすぎて起きるオーバーユース(使いすぎ)ですが、
なかなか治らずスポーツに復帰できないケースや、繰り返し痛みが発生してしまうケースがあります。
症状
走る・ジャンプ・階段の昇り降りなど、膝に体重が多くかかると痛みが発生します。
また腫れているところを強く押したり、何かに当たっても痛みが発生します。
症状が悪化すると膝を曲げるだけでも痛みが発生します。
発症原因
未発達なすねの骨(脛骨)を太ももの筋肉(大腿四頭筋)が繰り返し引っ張ってしまうことで、
骨が剥がれることで発症します。
成長期(10歳~16歳頃)に急激な骨の成長と筋肉の柔軟性の低下が同時に起きることで発症しやすく、
女子より男子の方が発症率が高いのも特徴です。
病態
太ももの正面の筋肉(大腿四頭筋)が膝のお皿の骨(膝蓋骨)に終わり、その後お皿の下の靱帯(膝蓋靱帯)を介してすねの骨(脛骨の脛骨粗面)に終わります。
大腿四頭筋は膝蓋骨を介して脛骨を上方へ引っ張ることで、膝関節を伸ばします(伸展)。
成長期は〇部分が未発達で、骨にしっかり固定されておらず、軟骨によって引っ付いています。
そのため繰り返し強い力で斜め上方向に引っ張られることで前方へ突出するように剥がれてしまいます。
治療
第一は安静です。痛みが強い場合は炎症が起きているため、運動を中止しテーピングなどで保護して安静にします。
炎症が治まると、筋肉のストレッチや剥がれている骨の再生を促す電気治療を行います。
骨が完全に成長するまで運動を中止できる場合は、時間の経過と成長に伴い治っていきます。
ただし、繰り返し痛めている場合や、早期のスポーツ復帰を目指す場合は、
股関節や膝関節や足関節の正しい使い方を覚え、フォームの修正が必要です。
予後
完全に骨が成長することで痛みは治まります。
ただし、極端に骨が突出してしまった場合は、そのまま骨が出っ張ったままのケースもあります。
骨の出っ張りが残ってしまうと当たったり正座をすることで痛みが発生する場合があります。
当院での施術
初期治療として、骨の再生を促す超音波治療(LIPUS)とカッピングを行い、早期の炎症改善を図ります。
痛みが消失するまでは、キネシオテーピングにより日常生活での痛みを抑え、手技により大腿四頭筋等の筋肉の緊張を緩和させていきます。
痛みが軽減してきたら、インソールマイスターによる足の正しい使い方やトレーナーによるフォームの修正指導を行います。
試合に間に合わせたい等の要求も可能な限りお応えしますが、出来るだけ症状が軽度または試合日程までに余裕をもって来院してください。
肘内障(子供の肘の脱臼)
肘内障は小学生以下のお子さんに発生する肘の脱臼です。
脱臼と聞くと重症のイメージですが、比較的多くみられるケガで、 整復も慣れた先生であればすぐにできてしまう場合が多いです。
ただし、お子さんは非常に痛がり泣き止まないのですごく心配になります。
夜間や休日の場合はすぐに対応してくれる整形外科(できれば個人医)や接骨院を受診してください。
症状
痛み腕や肩を動かせなくなり、動かすと痛いので肘や手首を支えたまま泣きます。
痛みで泣いてしまい中々泣き止まない場合が多いです。
発症原因
腕を引っ張られて発生するケースが非常に多いです。まれに転倒や寝返りの際に発生するケースがあります。
病態
正常時は肘の橈骨頭(とうこつとう)にリング状に引っかかっている靱帯(輪状靭帯)が、上にズレて外れてしまい、
関節の中で骨と骨に挟まってしまう状態です。
治療
肘まで露出させ、肘と手首を掴み動かすことでズレた靱帯の位置を整復します。
予後
整復完了をしばらくすると痛みが治まり泣き止みます。腕が通常通り使えることを確認し治療終了となります。
ただし、小学校入学前後までは何度も繰り返す場合があります。
一度脱臼してしまった場合は、手を引っ張ったり鉄棒などにぶら下がるなど、脱臼しやすい事は控えるよう注意が必要です。